Doll dungeon – Chapter 15

「あいつ等は今どうなっている?」

「只今客室で寝ておられます。処置と致しましては、濡れタオルで傷口と身体を清め、ポーションを飲ませております」

包帯を巻いたり消毒をしたりしないのか気に成り聞こうとしたが、救急箱を出してないのを思い出し、50DPで救急箱を出して渡した。

非生物しかいない俺のダンジョンに救急箱は普通必要無いが、これから人が多く成るのだ、必要になる機会も有るだろう。
先行投資だ。

昼が過ぎ、腹ごなしに適当なオートマンと組み手をしていると、アインツがやって来た。

「クラインさんが目を覚ましました」

「そうか、ならついて来い。七番、ご苦労だったな。仕事に戻って良いぞ」

「はい、ご主人様」
「はっ、勿体なきお言葉です」

アインツを連れ、クラインの居る客室に向かう。

途中容体を確認すると、立つ事は出来ないが、話は出来るらしい。
あまり錯乱はしておらず、暴れる様な事も無かったらしい。

「気分は如何だ?」

客室に着くと、ノックもせずにドアを開け、質問する。

「え?あ、ああ。傷は痛むが、気分が悪く成ったりする事は無い。あなたが、助けてくれたのか?」

人当たりの良さそうな笑顔を浮かべ、急な質問に答えた
ウィンドウで見ていた時と話し方が全く違うが、初対面の相手に対してはこんなもんか。

「俺の聞いた気分はそんな事では無い。相棒を見殺しに助かった気分の事だ」

「え?」

もちろん死んでいない。
今は隣の部屋で安心しきった様に寝て居る筈だ。

「グラムが、死んだ?」

「お前を助ける様に俺に懇願しながらな」

あいつの名前、グラムっていうのか。

「嘘だ…。嘘だ!!」

無理してベッドから立とうとし、転げ落ちた。

「あいつが死ぬ筈が無い!!助けてやる!今行くから!絶対助けてやるからな!!」

何度も立ち上がろうとするが、足が言う事を聞かないのか、何度もこける。
その度に傷が徐々に開き、包帯に血が染み込んでいくが、立とうとするのを止めない。

というかだ

「錯乱したぞ?」

「御主人さまが錯乱するような事をおっしゃるからです」

俺が悪いのか?

「死なせはさせない!俺が絶対助けてやるからな!」

「助かってるよ」

こけた回数が十回を超えた位に、別の声が聞こえた。
と言うか、グラムの声が聞こえた。

「何だ、起きていたのか?うちのメイドから報告を受けてないが」

「ついさっき目を覚ましましたからね。この馬鹿の大声で叩き起されましたよ」

こいつも喋り方が違うな。

「グラム、生きてたのか!」

「たりめーだ、勝手に殺すな!」

悪い、勝手に殺した事にしたのは俺だ。

「だって、こいつがグラムは死んだって」

「何?なんでそんな嘘を?」

何でそんな嘘を、か。

「助けるに値する奴か確認するためだ。アインツ、何か精の出る料理を作ってやれ」

「畏まりました」

アインツと共に退室する。

さて、あいつ等はどの位で回復するかな?
ポーションを飲ませてるから普通よりは早いと思うが、どうだろうな。

因みに、グラムは無理して歩いたらしく、メイドにお姫様抱っこされて連れて帰られたようだ。

翌日の朝には完治と言って良い程傷が治っており、自分で歩くどころか、軽い運動までしていた。

この回復力はこいつ等自身のタフさも有るだろうが、ポーションの効果も大きいだろう。

ポーションは、ダンジョンのみで手に入る回復促進剤の名称で、霊薬と称される程の効果が有る。
外で売れば何千万もの値が付く高級品だ。

三レベに成った時に作成できるように成るが、DPを500も消費するので、易々と作れる物では無いのだが、もしものために三本作って置いたのだ。

効果の実験も兼ねて飲ましてみたが、虫の息の者を一日で此処まで回復させるとはな。
想像以上だ。

それはそうと

「軽い運動が出来る位まで回復したんならさっさと帰れ」

二人を書斎に呼び出し、装備品を返す。

「え?いきなりですか?」

何を驚いているんだ?

「元々お前達の命を助けるためにここに置いて居たんだ。命が助かり、運動まで出来る様に成った今、置いとく理由は無いだろ?」

「それはそうだが…」

「それとも、運んで貰わないと帰れないか?」

少しの間が空いた後、クラインが頭を下げた。

「助けていただき、有難う御座いました!」

それに続き、グラムも頭を下げた。

「有難う御座いました!」

まったく、暑苦しい奴らだ。

「さっさと行け」

二人とももう一度頭を下げ、出て行った。

「なあ、アインツ」

「何でしょう?」

相変わらず呼べばいつも近くに居る奴だな。

「もしかして俺は、あいつ等が羨ましかったのか?」

「…」

「あいつ等の様に感情を面に表せる奴らが…。いや、忘れてくれ」

「畏まりました」