Unusual summoning magic – Chapter 1

In this world, there is the concept of 『Levels』.

The concept of『Levels』gave birth to great disparity within society.

レベルとは身分だ。

相手のレベルを見れば身分が判る。結構えげつない世界だ。

この世界では『レベル』こそ身分の証明。

当然レベルが高い人間は自然と地位が高くなり、レベルの低い者は虐げられる……。

俺はアルテミス大陸の東側に位置する、小さな農村『リーシャ村』に住む15歳のサシャ・ボリンガーだ。

職業は『村人』レベルは『3』だ。

俺の住んでいるリーシャ村の人口は約7000人。

父のダリル・ボリンガーは俺が小さかった頃に冒険中に命を落とした。

母マリアの話では、父はそこそこ名の知れた冒険者だったらしく、俺が2歳の誕生日を迎えた日に魔物に殺されたらしい。

残された母は俺に農業のイロハを教えながら、二人で農作物を栽培して何とか今日まで生きてきた。

今日は俺の15歳の誕生日だ。

15歳と言えばこの世界では成人である。

父は15歳の成人の日に冒険者になったらしい。

母は俺に、父のような冒険者になって欲しいと言っている。

俺は成人したら冒険者になる事が夢だった。

一生小さな農村で暮らすつもりはない。

今日は俺の冒険者としての旅が始まる。

最初の一日だ。

俺は冒険のための装備を揃えるために、知り合いの商人の店に行った。

〈サイモンの商店〉

『商人 LV24 サイモン・レイ』

この世界で商売をする時や、家を建てる時は、入口にステータスを表示しなければならない。レベルと職業を表記した表札を提げる義務がある。

「おじさん! 俺、今日出発するんだ! 装備を揃えに来たよ!」

俺は元気に商人のおじさんに挨拶をした。

商人のおじさんは父の幼馴染だ。

「お前の父、ダリルも確か成人の日に冒険の旅に出たんだよな!懐かしいなぁ……もうサシャも成人って訳かい」
商人のおじさんは昔を懐かしむような口調で語った。

「冒険なら装備が必要だな!」
と言って、おじさんは店のカウンターの中から、革の鞘に入った一振りのショートソードを出した。

俺はおじさんから剣を受け取り、鞘から剣を抜いてみた。

光輝くショートソードが姿を見せた。

(良い剣なんだろうな……)

「おお!! 冒険って感じだね!」
俺は思わず唸った。

「その剣は俺が冒険者の頃に使っていた剣なんだよ。サシャが出発する日に渡そうと思っていたんだよ」

おじさんが冒険者時代に使っていた剣か……。

「ありがとう! 大切にするよ! それじゃ、俺は今日出発するから。今までお世話になったね!」
俺は手短に挨拶をして露店を離れた。

それから俺はパン屋で旅の食料を買う事にした。

旅には食料が不可欠だからな。

旅の荷物は、父の遺品の魔法の鞄マジックバッグにすべて仕舞おう。

これは便利なカバンで、どんな物でも沢山仕舞う事が出来る。

父が冒険者時代に高難易度のクエストの報酬で手に入れたマジックアイテムだ。

俺はパン屋で保存が利きそうな大き目なパンを3つ、3シルバーを出して買った。

パンはしっかりした袋に密封して仕舞い、湿気などが入らないように工夫した。

ちなみにこの世界の通貨は1ゴールドが100シルバー。

硬貨は全部で5種類だ。
100ゴールド硬貨、10ゴールド硬貨、1ゴールド硬貨。
10シルバー硬貨、1シルバー硬貨がある。

それから、俺は村で唯一の薬屋を訪れた。

薬屋では体力を回復させる薬を一つ、3シルバーで買った。

何やら、この薬の名前は『ヒールポーション』と言うらしい。

商人のおじさんは、旅にはポーションが必要だと教えてくれた。

(よし! 食料と武器は手に入った!)

あとは……母に出発の挨拶をするだけだ。

〈ボリンガー家〉

「母さん、今日出発するよ。旅の支度も完璧! 武器も完璧!」
俺はさっきおじさんから貰った剣を自慢げに母に見せた。

「サシャも立派になったのね。私は何もしてあげられないけど、旅の無事を祈ってるわ。それから……お父さんが昔使ってたガントレットが倉庫にあったの、持っていきなさい」
と言って、母は丈夫そうな金属製のガントレットを俺に渡した。

(父さんが昔使ってたガントレットか……)

手に装備してみるとサイズはぴったりだった。

金属製だが、とても軽くて動かしやすい。

ガントレットを装備すると、体の奥底から魔力が湧き出てくるような気がする……。

気のせいだろうか……。

「サシャ、とりあえず最初に隣町を目指したら?隣町に行くには、北の街道を進めば着くはずよ。北の街道には、スケルトンや低級の魔物が出るみたいだから気を付けてね。お父さんが生きていた頃はよく隣町に行ったけど、私一人じゃ魔物が怖いから行けなかったのよ」
母は少し不安げに俺にアドバイスをくれた。

そう言えば、俺も隣町には行ったことは無かった。

街道……! スケルトン! 冒険って感じだ!

「ありがとう! 行ってくるわ! 強い冒険者になったら帰ってくるよ!」
と言って俺は母に挨拶を済ませて家を出た。

俺が家を出た時、母は泣いていた……。

嬉し泣きだろうか……。

〈北の街道〉

母さんは確か、リーシャ村を出て3日で隣町に着くと言っていた。

確か、町の名前は『フィッツ町』

母さんから聞いた話では、工芸品が有名で、この辺りで唯一、冒険者ギルドがある町らしい。

冒険者ギルドではクエストを受けたり、転職が出来たりするらしい。

どんな職業があるのかは知らないけど、俺は戦闘系の職業に転職するつもりだ。

この世には数えきれないくらいの職業が存在すると、小さい頃に母さんから聞いた事がある。

ちなみに、父のダリルの職業は剣闘士グラディエーターだったらしい。

父は戦闘の時には軽装を好み、右手にグラディウス、左手には小型の盾バックラーを装備していたらしい。

父は昔、闘技場で剣闘士グラディエーターとして働いていたらしい。

身分は奴隷ではなく、ゲストとしての参加だったらしい。

俺が母から受け取った『ダリルのガントレット』は闘技場で活躍した父に対して、闘技会の主催者が謝礼として贈った品らしい。

(俺もいつか闘技場を見に行きたい……)

父が数多あまたの敵や魔物を倒して勝利と名声を掴んだ場所だからだ。

とにかく、俺は隣町のフィッツ町を目指して村を出た。

村を出て北の街道を進む……。

北の街道は一本道で隣町のフィッツ町に繋がっているらしい。

街道の中間地点には墓地があり、スケルトンを中心とする低級な魔物が湧いているらしい。

俺が農業で鍛えた力を発揮する時が来た!!

だが……俺は剣の振り方を知らない。

クワなら毎日のように持っていたから、手にタコが出来ている。

毎日、小さい頃からクワやナタを使って農作業をしていたから、体力と筋力は十分あるはず……。

リーシャ村を出てから2時間が経った。

魔物の気配はないが、一度も剣を振った事のない俺が、急にモンスターと戦える訳がないと思う。

(兎に角とにかく……この辺で休憩して剣の振り方でも覚えるか……。)

北の街道の森の中には、魔物を祀った石碑がある。

以前、商人のおじさんから聞いた事があるが、この石碑に祀られている魔物は、昔、リーシャ村が魔物に奇襲された時に、村人を守ってくれたらしい。

名前は確か……骸骨王スケルトンキングと言うらしい。

石碑の付近は森が開けていて、剣の練習をするには丁度良いだろう。

俺はここで剣の練習をする事にした。

その前に石碑に頭を下げておこう。村の守り神だからだ。

(父さんのような強い冒険者になれますように……)

俺は石碑に頭を下げてから剣の練習を始めた。

商人のおじさんから貰った剣を鞘から抜いた。

『ショートソード』だ。

父の遺品である『ダリルのガントレット』と相性が良いのか、剣を握ると力が湧いてくる。

(なんだろうこの感覚)

ガントレット越しに伝わる剣の感覚は、とても温かい。

(これが魔力か……)

どうやらガントレットは俺の魔力を大幅に引き出してくれるようだ。

剣の種類は片手で十分に扱えるショートソードだ。

剣の扱いに慣れていない俺には丁度いい武器だろう、短くて扱いやすい。

俺はその場で剣を振ってみる。

『!!!!ビュゥ!!!!』

高く振り上げた剣を思い切り振り下ろした。

俺は剣の扱い方なんて知らない。

戦闘になったら、ただ力任せに振り下ろして、敵に当てる事だけを考えよう。

そして最初の敵はなるべく弱い敵を倒そう……。

それからしばらくの間、ひたすら剣を振り続けた。

剣を何度も振っていると、ある事に気が付いた。

ショートソードは使いやすい。

剣速が早い。

(剣の速度を活かした攻撃はできないだろうか)

『ダリルのガントレット』は俺に戦い方を教えてくれるようだ。

ガントレットは生前の父の戦い方を記憶しているのだろうか。

(このアイテムは普通のアイテムでは無いような気がする)

それからしばらくの間、俺は剣を振り続けて疲れ果ててしまった。

(今日はここで野宿しよう)

辺りは暗くなり、夜の森は静けさに包まれていた。

聞こえるのは昆虫や小動物の鳴き声だけだ。

たき火を焚いて暖を取る。

(明日は魔物を探して狩ろう……)

お金を稼がなきゃ旅は続けられない。

剣の練習で腹が空いて、村で買ったパンを食べた。

(味気も無いパンだけど、練習後に食べるパンは旨い)

それから、しばらくして俺は寝袋の中に入った……。

寝る前にも村の守り神に挨拶をしておこう。

(おやすみなさい……俺は強い冒険者になります……)

〈翌朝〉

「今日は魔物を倒すぞ!」
朝起きて自分自身に気合いを入れた。

(初めて戦う敵はなるべく弱い魔物でありますように……)

北の街道を北上し、フィッツ町を目指した。

北の街道はリーシャ村とフィッツ町を繋ぐ道だ。

母と商人のおじさんの話によれば、リーシャ村とフィッツ町の中間地点には『墓地』が有るらしい。

(きっと俺の最初の敵スケルトンが居るのは墓地の中だろう……)

北の街道を道なりに歩いて6時間ほどが経った。

足腰には自信がある俺が、かなり疲労感を感じた時……。

(おや……)

何か見慣れない建物が見える。もしかして墓地……?

サビついた金属製の柵の中に、朽ち果てた墓石が何個も建っていた。

「おお!! 墓地だ!」

墓石の数を数えるとざっと80個近くある。

大規模な墓地で、墓地の奥の方には教会が見える。

こうして俺は北の街道の墓地を見つけた。

墓地の中に入るか入らないか悩んでいたその時……。

背後から只ならぬ気配を感じた。

!!!!魔物だ!!!!

スケルトンの奇襲は突然だった。

背後からの魔物の殺意を感じて、急いで振り返ると、そこにはサビだらけのメイスを持ったスケルトンが立っていた。

(これがスケルトンか……)

口は半開きで、目には赤い炎を灯している。

身長は約170センチ程だろうか。右手には『メイス』を持っている。

スケルトンは魔物に殺された冒険者や、不当に殺害された者の成れの果ての姿だ。

突然のスケルトンの奇襲に、驚きながらも冷静に対応している自分が居た。

俺は急いでショートソードを鞘から抜いて、後ろに一歩飛びのいた。

すると、スケルトンがゆっくりメイスを振りかぶった。

思いの他、スケルトンの動きは遅い。こいつ……遅い!!

勝てる!!

スケルトンは魔物の中でも弱いとは聞いていたが、ここまでノロマだとは……。

俺は昨日、寝る直前まで練習したショートソードの一撃を放った。

俺の一撃はスケルトンの鎖骨の辺に直撃した。

「……バゴォ……!!」

スケルトンはあっけなく倒れた。

あれ……? 手ごたえがない。

本当に俺は倒したのだろうか?

倒れているスケルトンに目をやると……。

地面に倒れたままの状態でメイスを振った。

「……クッ……」

倒したと思って油断していた俺の左足に、スケルトンの一撃が当たった。

左足に激痛が走る。

痛い 痛い 経験した事も無い痛みだ。

もしかしたら骨が折れたかもしれない……。

逃げる事すら出来ない。俺は地面に倒れこんでしまった。

やばい……勝てない……俺はここで死ぬのだろうか。

死にたくない……俺は自分の死を予感した。

きっと次の一撃で殺される。

短い人生だった……助けてよ……父さん。

助けてよ……守り神様。

スケルトンは俺との距離を縮めた。

スケルトンは俺の目の前で、大きくメイスを振り上げた。

『!!……死にたくない……!!』

スケルトンは俺に最後の一撃を放った。

その瞬間、俺はガントレットをはめた両手をスケルトンの方に向けて叫んだ。

『!!!!……助けてくれ……!!!!』
すると、俺の最後の願いを聞いたガントレットは、激しい光を放って輝き出した。

ガントレットから放たれる激しい光は、目の前に立つスケルトンを軽々と吹き飛ばした。

(まぶしくて目が開けられない……)

10秒ほど経った頃に光はゆっくり収まった。

光の中には人が立っている。

「誰だ!?」
目を凝らしてみると、人ではなくスケルトンだった。

(スケルトン!?)

俺を助けてくれたのだろうか……。

光の中から突如現れたスケルトンは俺に話しかけた。

「オレ……キング……ヨロシク……」

何!? 口が利けるのか!!

こうして俺は『キング』と名乗る、謎のスケルトンと出会った。